物流の中心に船あり
圧倒的な輸送量と効率性を誇る船は、世界物流の90%以上を支えており、物流の主役を担っています。
マキタのエンジンは、主に全長100~200m級の小型外航船(世界を周る貨物船)に搭載されています。
世界の人口は2022年に80億人に到達し、依然として増加傾向にあります。
世界の人口の増加とともに世界の物流マーケットも拡大しています。船舶用エンジンはこれからも物流を支える礎として、その重要度は高まっていくことでしょう。
船舶用エンジン
メーカー
マキタは小型外航船向けエンジン※の専業メーカーです。
船舶用エンジンは3万点もの部品からなる巨大な精密機械。部品加工の精度や部品を組み立てたときの微妙なズレがエンジンの不具合につながることもあります。
当社がこれまで造ってきたエンジンは累計約4,700台(2023年現在)。圧倒的な実績の積み重ねが高い品質につながる好循環をもたらしています。とくに重要なクランクシャフト、シリンダなどの部品は自社で加工。その膨大かつ精密な部品を寸分の狂いなく組み上げることで「図面を超える」壊れないエンジンを実現しています。
※船舶用エンジンには、ピストン径500mm以上の大型船向けエンジンとピストン径460mm以下の小型船向けエンジンという2つの世界市場があります。
世界トップシェア
マキタは小型外航船向けエンジンの市場で世界シェア40%を占めています。
2011年以来、世界No.1のポジションを譲ったことがなく、経済産業省が世界市場で目覚ましい活躍を見せる企業を顕彰する「グローバルニッチトップ企業100選」に選定されています。
船舶用エンジンの設計を行うエンジンライセンサーは世界に3社のみ。当社は、小型外航船向けエンジンの部門でシェア90%を占めるドイツのMAN Energy Solutions(以下、MAN社)とのサブライセンス契約のもとエンジンを製造しています。
MAN B&Wブランドの
低速小口径エンジンの世界シェア
2023年におけるピストン径46cm以下のシェア
出典:Reference List/MAN Energy Solutions
次世代エンジンへの対応
温室効果ガスの国際的な排出量規制が年々厳しくなる中、当社のエンジンも変化をしてきました。
2013年からは機械制御型エンジンから燃料効率の良い電子制御型エンジンに転換。
2019年からはエンジンから排出したNOxを触媒を用いて分解するSCRシステム(※1)、2023年からは、排ガスの一部を排気管へ再循環させ、NOxを抑制するEGRシステム(※2)を導入しています。
2021年には、IMO(国際海事機関)が2050年までに温室効果ガスの排出量を50%以上削減(2008年比)することを目標に掲げました。
これにともない100年以上にわたり重油を燃料としてきた船舶用エンジンは、ガス、アンモニア、水素といった次世代燃料への変換を迫られています。当社でも将来的な設備投資や専門技術者の採用を計画するなど、来る時代の転換期への準備を進めています。
※1 SCR:Selective Catalytic Reductionの略
※2 EGR:Exhaust Gas Recirculationの略
エンジンの生涯を
グローバルにサポート
現在、約1,400台の当社のエンジンが世界の海で活躍しており、マキタ製のエンジンは故障が少ない・壊れないという評価を受けています。「壊れない」を当たり前にするのは信頼性の高いモノづくりとその後の確実なアフターサービスです。世界中の様々なエンジントラブル、その情報を横断的に把握するのはエンジンメーカーです。これを強みととらえ、100年の技術と情報の蓄積を活かして、マキタ製のエンジンが搭載された世界中の船に対して生涯のサポートをグローバルに展開しています。
瀬戸内・香川の100年企業
瀬戸内海沿岸は古くから海上交通の要衝として栄えてきました。全国的には「地方」に当たる瀬戸内地域も、船舶業界から見ると「大都会」。瀬戸内は世界に類をみない海事クラスターなのです。
愛媛県今治市の船主は、ギリシャ、香港、北欧と並び「世界四大船主」と呼ばれ、今治を中心とした瀬戸内地域には造船所、舶用メーカー、船主、運航会社が集積しています。
1910年に創業した当社が、関連産業が互いにシナジーを発揮できる、ここ瀬戸内・香川の地にあり続けること、それ自体に大きなアドバンテージがあるのです。