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CROSS TALKクロストーク

CROSS TALK 次世代エンジンへの
挑戦

世界的な脱炭素化への潮流。
自動車業界ではEV化へと舵が切られ始めました。
船舶・海運業界においてもカーボンニュートラルに向けた
環境規制や次世代動力への議論が活発になってきています。
電子制御ディーゼルエンジンへのシフトから約10年。
次なる転換への予兆を捉え、
マキタのリーダーたちは機会に備えています。

M.F.営業部
全国の造船所や船のオーナーへの営業活動を担当。
T.U.品質保証部 試験グループ
組み上がったエンジンの陸上・海上運転テストを行う。
E.F.設計部 基本設計グループ
性能・環境対応など新しい技術 をお客様に発信する引合担当。
T.O.組立部 生産技術
工場の使用治具製作などエンジン組立や出荷工程をサポート。

車の世界ではEV化が進行。 
 船のエンジンは今後どうなる?

M.F.
船の世界では、マキタが搭載される様な外航船にはハイブリッドやEV化はまだ時間が掛かる話ですね。なぜなら、船で輸送する積載物の重量や運送距離も車とは圧倒的に違うため、既存のバッテリーでそのパワーを出すのは難しく現実的ではないからです。
E.F.
ただし、近年加速する環境規制により、CO2の排出削減はしなくてはいけない、という視点は持っています。代替燃料へのシフトは避けられないでしょう。段階として、ローカーボン※のガスが次にくるのかなぁ…

※ローカーボン…低炭素。二酸化炭素の排出が少ないもの。

M.F.
ガスが世間の流れですね。重油のディーゼルからディーゼルにガスを混ぜたエンジンへ、というのが次のステップです。
E.F.
IMO(国際海事機関)でも、「2050年にはカーボンゼロにしましょう」という流れになり、環境規制は加速する傾向です。私たちの取り扱うエンジンもそのうちに化石燃料は使えなくなると思います。

次世代ガスエンジン製造にむけての 
 対策を語る

T.U.
代替燃料にシフトとなると、当社でも一番問題になるのは設備投資。設備は、生産技術のT.O.くんが一番大変だし、詳しいよね。
T.O.
燃料タンクを作るのに1年かかるので、1年前には発注をかけないといけないです。現在マキタには重油のタンクしかないので、ガス専用のタンクが必要になります。設置場所の検討もしないといけないですね。すべてのガスは対応できないから需要の多いモノに絞っていくことになるでしょう。
E.F.
LPGとLNGではシステムや付帯機器なども違うので、それぞれに必要な準備について設計部も勉強しています。
M.F.
数年前、重油が相当高騰した時に、燃費の良いエンジンを早く造って欲しいという問い合せがお客様からありました。世界の燃料価格も一つポイントなので、重油の値上がりでガスの話題が急浮上する可能性があります。前もって準備し、慌てることのないようにしないと。
T.U.
ガスとなると、現場に有資格者が必要ですよね。
T.O.
「高圧ガス製造保安責任者」の甲種という一番難しいランクの資格を取りました。必死で勉強しましたよ。(笑)
M.F.
国家資格試験を働きながら一発合格はすごいよ!
T.U.くんの部署もガスが決まったら、大変になるでしょう。
T.U.
僕らの間でも「ガスが来るかもしれない」という噂が漂っています。でも、不安視はしていないです。今までも転換期を経験してきましたから。
試験グループは出来上がったエンジンをテストする部署なので、工場が造り始めたら馬車馬のごとく働きます。ライセンサーのMAN※にも直接相談ができ、対処できるので心強いです。新しいコトというのは誰もわからないですが、僕は意外とわからないものを探すのが好きなんですよ。「あー、なるほど!」と謎解きみたいで、楽しいんです。

※MAN Energy Solutions社(MAN社)は、ドイツに本社をおく船舶用エンジンライセンサー

E.F.
設計では新しい情報を収集して、造船所やオーナー様に構造や設計を説明したり、計画での注意点をアナウンスしたりすることが多くなってきます。どちらかというと営業と・・・
M.F.
セットな感じですよね。
T.O.
以前にガスの設備や費用を経営層に打診して判断してもらうという流れが一度ありました。実際に受注が決まったら、その時に検討したデータをもとに必要な設備を揃え、エンジンを組んで運転できる段取りを進めます。今、その切り替わりに向けた段取りを行っているところです。

ターニングポイントに立つ視点

T.U.
ガスと重油とでは違うところが多数あります。そういった新しいところは、経験上かなり不具合が出ます。逆に言うと、備えられると言うことです。小型エンジンは、大型エンジンの後発になるので、世界的に初めてこのシステムでエンジンを動かすというわけではないのですが、小型エンジンでのシステム導入は、世界初や日本初だったりするんですよね。当社は…。
M.F.
チャレンジ精神というかパイオニア精神というか。
マキタは一番最初が好きな会社ですから。
T.U.
そうです。僕が不安じゃないといったのは、初号機を造ってきた経験があるからです。今までさんざん「やばい、これはもうダメだ」というのを経験しましたが、解決してきました。その経験というか、自信というか。新たな課題に向かっていくことも楽しめるんじゃないかと感じています。
T.O.
当社の経営スローガンになっているチェンジ&チャレンジの醍醐味ですね。失敗もありますが「やってみる」ことは非常に大きな経験になります。入社時から上の人に言われてきましたよね。「マキタはやりたいことをやりたいやつに若いうちからやらせてくれる会社だ」と。 
T.U.
僕も5年目くらいに世界初のエンジンの航海に1カ月ほど乗船しました。その時は結構大変でしたが、話のネタにもなりますし、周りの全然畑の違う友人にも「人ができなさそうな経験をできとんねんなぁ」とうらやまれたりします。これから入社する人にも、そういう機会がきっとあると思います。
M.F.
ある時点で一気にガスへと切り替わっていくと思います。ガスの船が主流になると従来の船が古い船の扱いになるので、造船所も競争で「他がやっているのならうちもガスの船を」となり、時期が似てくることが予想されます。電子制御も、前年にはほぼなかったのが翌年一気に電子制御化に切り変わっていきましたから。
E.F.
排ガス規制も拍車をかけますね。
M.F.
環境のルールをクリアするために、ガスエンジンには取り組んでいかないといけません。基準値を達成するためにガスが必要になったら一気に変わらざるを得ないと思います。
そのためには世界の主流がどうなるのか、そこを見極めるのが営業の仕事。設計と一緒にね。今は、その情報の収集段階です。
E.F.
設計はいざとなったときにお客様に説明し、社内に向けては「こういうモノを準備してね」と根回しできるように、ライセンサーから図面作成や部品手配、設備の準備ができるような情報を揃え、備える必要があります。
ガスを代替燃料の第一歩として取り組んでおけば、次にアンモニアが燃料になったときも対応が可能です。カーボンゼロとかネットゼロ※に貢献できると感じています。

※温室効果ガスの排出量を正味(=ネット 排出量と吸収量を差し引いた合計)ゼロにする

これから入社する人たちが 
 次世代のパイオニアになる

E.F.
これから入社する人には、教えてあげるというよりは、解決策を一緒に考えたり、情報収集を手分けしたりして、共に取り組んでいくことになると思います。設計部には「なぜだろう?」と感じ、調べることが好きな人が向いています。新しいことにどんどん首を突っ込みたくなるタイプがいいですね。
M.F.
営業では、今ガスを決めてきたら、ガスのパイオニア認定です。「マキタにガスエンジンを連れてきた人」になれます。
僕ら営業は、エンジン以外にもお客様からいろいろな情報を聞いています。ガス以降のバイオ燃料や電気の話など。お客様からより最新の話が聞けることが営業の楽しいところです。
T.O.
僕のところは先陣を切って新しい設備を導入することになるので、ガスエンジンの設備に関するオーソリティになれます。どの部署もわりと新機種を担った人に問い合せが来がちです。ガスエンジンがうまくいったら、ガス・マスターになれますよ。
T.U.
ある意味チャンスですよね。新入社員でも、新たな技術に最初から入って携われば、長年やった先輩以上の知識を得られる…かもしれないし、即戦力になれる…かもしれない。
T.O.
小型船舶のガスエンジンは、みんなでワイワイ、いろんなところから情報や助言をいただきながら推進することになります。完成させたなら立派な先駆者です。